【ワンス宝塚】アポカリプスの四騎士とは?黙示録とは?




Once Upon a Time in America』の中で「アポカリプスの三騎士」、出所したヌードルスが加わって「アポカリプスの四騎士」という言葉が出てきます。

ヌードルスが「黙示録か!」と言ってくれたので、そこからキリスト教(いやユダヤ教か)関係の言葉であると初めて知ったのですが(←そこからかい)、知識がほとんどないため、あとから気になってもう少し調べてみました。浅知恵につき、ご容赦ください。

「黙示録」とは?

「黙示録」とは、『ヨハネの黙示録』のことであり、『新約聖書』の一番最後に配された聖典です。

イエス・キリストの生涯と言葉(福音)のいわばアンソロジーである『新約聖書』の中にあって、唯一の予言的性格を持つ書です。『ヨハネの黙示録』と『ヨハネによる福音書』のみが「小羊」という言葉をキリストの象徴として用いています。

著者は使徒の1人ヨハネ、終末(長く続いてきた悪の時代が終わる時)において起こるであろう出来事の幻を見たと語る。

現実と虚構、夢を行き交うヌードルスと絡むとなんだかワクワクします。

映画版「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」はこうした宗教観を多分に取り入れてられています。というかむしろ黙示録になぞらえて脚本しているのかも、という気がしてきました。

宗教観はワンスに生きるユダヤ人の核心となるところであり、舞台化するにあたり、小池修一郎氏も限られた演目時間の中、工夫して随所に取り入れているのではないかと感じました。

ちなみに黙示録の「黙示」とは、

 

1.はっきりは言わず、暗黙のうちに考えや意志を示すこと。

2.キリスト教で、神が人に神意・真理を示すこと。啓示。(Oxford Languagesの定義より)

 

です。

「黙示」はギリシャ語の「アポカリュプシス」の訳語で、英語では「Revelation(啓示)」です。こちらはラテン語revēlātiō(暴露、すっぱ抜き)が由来となっているのだそう。

新約聖書にある他の書とは性格がまったく異なるため、その解釈と正典の受け入れにはキリスト教徒の中でも古来より多くの議論を生んできました。

さて、その黙示録ですが、Wikipediaによるとこのような内容とあります。

秘儀の啓示

神の目的、天使および悪霊の行為と特徴、(中略)、人類の歴史の区分と善悪の勢力による支配、(中略)、世界の終わり、最後の審判、人類の運命、メシアの再臨、天国と地獄の描写など

Wikipediaより引用)

もうなんだかワンスの世界のようでもあります。

夢または幻を通じた啓示

隠された知恵の啓示は、幻あるいは夢によって与えられる。

Wikipediaより引用)

ヌードルスがアヘンを吸引して幻覚を生じたが、隠された知恵はそこから導き出されたであろうか?

啓示をもたらす天使

啓示は直接神から人間へ、ではなく、天使によってもたらされる。天使といえば真彩希帆演じるデボラ。掃き溜めのような場所からよくぞ天の使いまでに。

天使が舞い 美しい女神が微笑む(『地上の天国』)」

ヌードルスも「お前はいつまでも少女のまま 白いチュチュで踊ってた(『いい夢だけを』)」と歌っています。

「いつまでも少女のまま」というのは時間の概念を超えた神に近い存在。ヌードルスの視点からですが。白いチュチュは天使の羽根のようです。

真彩さんの歌声が天の使いのように透明感があり、心を癒してくれるのは事実ですね。

未来との関係

黙示文学の特徴は、筆者の関心は未来に向いていることだそう。ヌードルスも「いい夢だけを」の中で「明日の風に向かおう」と歌う。ヌードルスもデボラも同じ景色を目指していたはずだったが…物語のあと、俗世界の欲望の向こうに真の未来は拓かれのだろうか。

神秘的または幻想的要素

ワンスの作品全体が黙示的なのかも…(黙示とは?に戻る)

神秘的象徴主義

黙示録では子羊がキリストの象徴。ワンスでは子羊はヌードルスでもあろうか。

長老のひとりがわたしに言った、

「泣くな。見よ、ユダ族のしし、ダビデの若枝であるかたが、勝利を得たので、その巻物を開き七つの封印を解くことができる」。

黙示録5

4分の3が…

ユダヤ教徒は『新約聖書』の中の『ヨハネ黙示録』だけは特別に信仰しているのだそうです。

ハルマゲドン(世界の終末の大戦争)の前に、神ヤハウェが全てのユダヤ教徒を再び一つにまとめると伝えられています。近い将来起こるとされるハルマゲドンはユダヤ教徒に対する最後の呪いであり、その際、

「ユダヤ教徒の4分の3が死滅する」と説かれているのだそう。

4分の3…?

最終戦争が連邦準備銀行爆破のようであり、その大爆発によりヌードルスを除くマックス、パッツィ、コックアイは命を落としました。映画版は替え玉を用意し計画的に復活、宝塚版マックスはたまたま九死に一生を得たが、いずれにしても”マックス”としてはこの世にいない。

なんと、ハルマゲドンを思わせる連邦準備銀行の大爆発で4人のうち3人が亡くなるとは、黙示録そのものでしょうか。

アポカリプスの四騎士とは?

「ヨハネの黙示録」に登場する4人の騎士。

子羊(キリストの象徴)が7つの封印を解く時、そのはじめの4つが解かれた時に現れる。四騎士はそれぞれの役を司り、地上の人間を滅する権威を有しているのだそう。日本的に考えても「四」は「死」を想起させます。

ヌードルスの7年の刑期は7つの封印なのかも?

※追記:宝塚ブログ「風のワルツ」のうさぎ様より、7という数字は聖書的に大切な概念ではないかしら、と教えて頂きました。

おおっ!たしかに、そうですね!重要です!そこから7年の刑期になったのかもですね。考えてみれば咲ちゃんの復活も聖書的だし。うさぎさん、ありがとうございます〜!追記終わり。

牢獄から出所することは、封印が解かれたことを意味するのかも。

ちなみに「騎士」は単に「馬に乗った人」の訳語であり、高貴な身分を意味しないのだそう(英語では「Horseman」)。

でも最高のスーツに身を纏った四人はさながらクールな騎士のようでもあります。

黙示録に登場する「第一の騎士」は手には弓を、頭には冠を被っており、白い馬に乗っている。勝利(あるいは支配)を得る役割とされる。

少年時代、王冠を見つけて嬉々として戴冠式ごっこに興じたり、デボラに豪華な冠をプレゼントしたり。出所の折は白いスーツに身を纏う。勝利、支配にこだわる。第一の騎士はヌードルスっぽいですね。

「第四の騎士」は青白い馬(青ざめた馬)に乗っている。騎士は「死」であり、”黄泉”を連れている。疫病、野獣を用いて人類の命を奪う。

青白い馬が出てきた。そして、それに乗っている者の名は「死」と言い、それに黄泉が従っていた。彼らには、地の四分の一を支配する権威、および、つるぎと、ききんと、死と、地の獣らとによって人を殺す権威とが、与えられた。

(黙示録6)

咲ちゃんマックスと繋げて考えてみればそんな気もする。

青いスーツ、狂気に走るほどに血の気が引き青ざめる顔、そして多くの人を死に至らしめる。疫病はなんとなく火傷か?病気じゃないけど。

名称変更した公演ドリンク「スピークイージー」は元々「マックスベイリー」として発表されました。盛大なネタバレからか珍しい名称変更だったな。まあそれはいいとして、黄泉=黄色い泉、だからドリンクの色も黄色なのかな、なんて思ったり(こじつけ1)。ドリンクの底の方は蒼い色なのですけど、そのあたりもマックス=第四の騎士として、彼を彷彿とさせます(こじつけ2)。

脱線するが、奇しくも現実社会は、全世界コロナ禍に巻き込まれている。いなごも大量発生しているし(黙示録9より)。

今の時代にワンスが舞台化されたことは、なにか恐ろしいほどの因縁を感じる。死の騎士の権威は未だに日本で燻り続けている。

世界を見ればまだまだ新型コロナウイルスは猛威を奮っており、あるきっかけでデモが暴徒化し、暴動や掠奪まで起こっている。これによりさらに感染は拡大するだろう。さらなる業火に身を焼かれる人々を思うとなんとも言えない気持ちになる。

第四の騎士がもたらす禍よ…

話を物語に戻そう。

そんなこんなで、「アポカリプスの”“騎士」が元々の言葉の由来なので、ヌードルスが戻って四騎士と、なーるー!と高らかに歌ったわけですな(だいぶ後で知った私)。これからのハルマゲドンを起こすにあたり、役者が揃ったというところです。ヌードルスは結局参加しなかったけど、そうしたあたり、予定調和が狂ってヌードルスは人間らしい苦悩に苛まれます。

六芒星について

「六芒星」は、ユダヤ民族を象徴する”ダビデの星”。 統一イスラエル王朝の初代国王です。

ダビデ王の頭文字は「D」。ユダヤのヘブライ文字にすると、ギリシャ文字の「Δ」に似ているのだそう。それを2つ組み合わせた形と言われています。

ヌードルスの名前、デイビッド(David)はダビデの英語形です。ヌードルスはダビデの血を受け継いでおり、迷いの中にあって自身のアイデンティティの根幹にあるダビデを思い出し、救いを求めたのでしょうか。

他にもいろいろありそう

わたしはあなたのわざを知っている。すなわち、あなたは、生きているというのは名だけで、実は死んでいる。

(黙示録3)

ヌードルスだろうか。あるいはマックスだろうか。

あなたは、自分は富んでいる。豊かになった、なんの不自由もないと言っているが、実は、あなた自身がみじめな者、あわれむべき者、貧しい者、目の見えない者、裸な者であることに気がついていない。

(黙示録3)

これらもヌードルスのよう、あるいはマックスでも考えられそう。ひょっとしてデボラも?

摩天楼のてっぺん、あるいはショービジネスの頂点に立つものは金銭的に富んでいても、そうばかりではないのだなあ。

地の王たち、高官、千卒長、富める者、勇者、奴隷、自由人らはみな、ほら穴や山の岩かげに、身をかくした。

(黙示録6)

ヌードルスは長年身を隠し、ベイリー長官は死を選び、デボラも第一線から身を引く。他にも多くのものが命を落としたり没落した。

 

おそらく解釈しようと思えばものすごくありそうだけど、とても私には力が及ばないのでこのあたりで。

セルジオ・レオーネ監督は11年もかけて脚本を書いているそうなので、ものすごく深いのだろうなあ。多くの人を魅了してやまないワンスの魅力の一片が垣間見れたような気がしました。

以上、内容はだいたい暗いものだけど、望海風斗さんや真彩希帆さん、彩風咲奈さん演じる登場人物を思いながら書くのは楽しかったです。

ウィキペディアの他、下記のサイトを参考にさせて頂きました。

「ヨハネの黙示録」WordProject

ユダヤ問題特集

ヨハネの黙示録の解釈

そして、キャロルも気になっている私。「いつか女は復讐するの」という歌詞が気になっています。

また書けたら書くかもです。

長くなりましたがここまでお読み頂き(いないかもしれないけど)ありがとうございました。

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