渡辺えりの狂気の歌がすごすぎる〜「ロコへのバラード」より〜




「タンゴのすべて」より「ロコへのバラード」

咲妃みゆさんや鳳翔大さんなど宝塚OGなどが参加したCD「タンゴのすべて」。

早速、聴いてみたところ、ゆうみさんの歌もとても満足したのですが、一番衝撃的だったのが渡辺えりさんが歌った「ロコへのバラード」でした。

私は保育園にお迎えに行く車中で初めて聴いて、あまりの鬼気迫る歌いっぷりに涙が溜まり、危うく精神を持っていかれそうになりました。

咲妃みゆさんも渡辺えりさんのレコーディングを聴いて震えたという「ロコへのバラード」。

前回の感想でも少しだけ書きましたが、あらためて狂気の世界をちらっと垣間見ていこうと思います。

「ロコへのバラード」

彼の登場

場所はブエノスアイレス。「私」は奇妙な風に誘われて街に出ます。

大通りの銀杏並木から「彼」が登場するのですが、この彼、とんでもない格好です。

・半分に切ったメロンの皮を頭にかぶっている

大きめのメロンの皮ならば、かぶれるかな。(サイズ的には)

強い芳香を放つメロンをかぶるのは彼流のオシャレか。

・服は着ていない?(素肌に直接ボーダーの縞模様を描いている。しかも黄色と黒)

黒と黄色の組み合わせは、タイガースファンか、そうでなければ一般的に危険色。

しかし彼にとっては手間をかけたサプール並みのオシャレ。

・両足の底には古タイヤ。釘で固定。

廃タイヤを拾って足に直接打ち付けてタクシーになりきっている。痛みはないようです。

・「空車」のプレートを両手に持つ

空車のプレートをどちらからも見られるように両手に持ち、大通りを闊歩し、「お客」を探している。

「私」にとっての「彼」

・自由人

自由とは、今のしがらみに苦しむ私の憧れ。

・金星の人類初の密航者

明るく輝く熱い星。

誰も行ったことのない星へ密航、大胆なパイオニア、宇宙空間をも自由に行き来できる者として憧れ。

・彼の姿が見えるのは私のみ

私こそ彼に選ばれしお客。彼こそが本当の私を見てくれる。

彼が街を歩くとすごいことが起こります

・ショーウィンドウのマネキンたちが、彼の伊達男っぷりに魅了されてウインクしまくる。無機質なものに感情が。

・信号もすべて青になり、彼の歩みを妨げない。機械も彼に狂う。

・八百屋に並ぶオレンジが一斉に白い花を咲かせる。時間を逆行。

ありえないことが次々と起こり、彼は踊る。

そうして「私」のところにお客を迎えるように紳士的な対応で(メロンを脱ぎお辞儀)プレートを差し出した。

僕にとっての君(きみ)

(ここからは、彼の言葉で進みます。

「僕」になります。)

「僕」も一般の人と違う認識は持っています。

だから、「正気さ」と言っています。

そして、君も普通。

これまで「僕」は街路樹の鈴なりの星になり君を見ていた。

悲しげな君を。

彼の立ち位置だからこそ、「君」の悲しみがわかる。

だから、彼は正気と言っているのだ。

彼にとっては他の誰もが狂っている。

君の悲しみを理解し、救えるのは僕だけ。

彼の中へ

(再び「私」の言葉になります。)

彼の魅惑にやられ彼の領域に足を踏み入れる。

ついに私は彼と結ばれ一つになる。

二度と戻らぬように楔(くさび)を打つが如く、愛を体に突き刺す。

私はこうして彼の永遠の客となる。

社会的制約、しがらみもない、なんのリミッターも効かせる必要がない、ある意味究極の愛。

彼にとっての正気の海に飛び込んだことでなし得ることができた。

再び「狂気の世界」の悲しみに暮れることのないように。

ロコとロカは笑う。

 

ハハハハハ!

ハハハハハ!

 

万雷の拍手が起きます。老若男女、なんと天使までも、祝福のワルツを踊ります。

 

ロコとロカは幸せになったー!

(ちなみにロコは狂った男、ロカは狂った女の意味だそう。)

彼の常軌を逸した狂気の世界には、なんら束縛されるものはない。

未来がどうなるなんて考えるのも不毛。

子供も老人も天使も狂人も同じ。

現実か虚構かも関係ない。

一般的しがらみ社会を生きている私には、彼たちの心は計りかねますが、ある意味、純粋な究極の愛なのかも…

渡辺えりさんの歌

咲妃みゆさんが、「絵本を読むように、情景が浮かんだ」とおっしゃっていましたが、本当にそうでした。

メロンの香りさえ漂ってきそう。

次から次へと狂気の世界が広がってきます。

そんな中、なぜか解放された優しさ、美しさも感じられます。

曲調も壮大。物語の中に運んでくれます。

作詞のフェレール、作曲のピアソラはそれぞれ異端でありタンゴ界に革命を起こした人だったそうです。

そして訳詞は渡辺えりさんとのことです。

すごいですね。

(ちなみに他のサイトでロコへのバラードの訳詞を読みましたが、そちらは「?」な感じでした。)

5分間の作品でこれほどの物語が繰り広げられ、これほどまでに揺さぶられるとは。

最後の、幸せの絶頂、高らかなる狂気の笑いに身震いしました。

おわりに

いやあ、渡辺えりさんの「ロコへのバラード」、圧巻でした。

本当に歌が上手いし、グイグイ引きつけられます。大迫力です。

ライブで聴かれた方は相当持っていかれたようで(笑)。

感想を書くだけでもなかなかに精神力が要りました。渡辺えりさんをはじめ製作にたずさわった方々はさぞかし、と思います。

(解釈が違ったらすみません)

今回はこちらの作品から感想などを書いてみました。

これらの作品の中で一番のハッピーエンドな歌詞かも。(ただし身震いするけど)

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