ちぎみゆ小説『望郷の詩』<前編>




ちぎみゆ小説

はじめに

早霧せいなさん、咲妃みゆさん、少し遅れましたがトップ就任記念日(9月1日)おめでとうございます。

8月31日には、ご一緒にネモをご観劇。観劇デートができたとのことで、本当によかったですね。

特別な日になったようで、ファンとしても嬉しく思います。

私は少し前からちぎみゆ小説(っぽいもの)二作目に挑戦していまして、この度ほぼ完成できましたので、お二人の記念日を祝して投稿させて頂きます。

ちなみに初挑戦の時は、退団間際のちぎさん目線。こちらです。

(挑戦したつもりではなかったが、気が付いたら小説っぽくなってしまったというもの。

でも自分としては気に入っています。)

ちぎみゆ小説『比翼の鳥、連理の枝』

今回は、退団してからのチギさんです。

いくつかのエピソードを参考にした創作ものです。

創作ものが苦手なかたは、すみません。

恐れ入りますが、温かい目で見て頂けるかたのみ、次へお進み下さいませ。

 

※いつもの投稿より行間をあけていますが、「間」を取るためです。

できれば携帯で読んだほうが、私のイメージしたした間に近くなります。

もしパソコンの場合は文字がどんどん目に入ってしまいますので、少しゆっくり目に読んで頂けると嬉しいです。

それと、大変申し訳ありませんが、文字数の都合により、2回に分けての投稿となります。ご了承下さいませ。

では、お待たせしました。

ちぎさんになりきってじっくり読んで頂けるとありがたいです。

ちぎみゆファンにお楽しみ頂けることを願って……

望郷の詩<前編>

故郷に帰るのは久しぶりだ。

昔を思うと駅周辺を中心に街はだいぶ変わってきた。

前はなんの建物だったか思い出せないところもたくさんある。

九十九島も横文字のシャレた名前が付き、リゾート地になった。

 

しかし、この潮風。潮風の匂いは今も昔も変わらない。

この風が私のカラダを駆け抜けると、ああ、帰ってきたのだな、と思う。

 

地元の人々は温かく迎えてくれる。

宝塚にいた頃は、すべてがうまくいくことばかりではない。思い悩む時も多くあったが、故郷、佐世保の存在は大きく、いつだって私を支えてくれた。

 

帰るところがある、というのはいいものだ。迎えてくれる人がいるのも。

離れている時間が長いほど、故郷のことを思い、ありがたさを感じるものなのかもしれない。

 

退団してから半月ほどが経った。あいさつや次の仕事の打ち合わせなどで、前ほどではないにしろ、わりとやらねばならないことがある。

市長や県知事表敬訪問の予定も入っており、なかなか地元に帰っても旧知と久闊を叙する間もないぐらいだ。

 

しかし、この忙しさは私の性に合っている。

単に立ち止まっていることが苦手、とも言えるのかもしれない。

実際、時間がありすぎるとなにをしたらよいのか、迷ってしまいそうだ。

 

そうは言っても、退団してからさしたる休暇もなくスケジュールをこなすのはいささか疲れる。

新しい仕事、新しい自分へのプレッシャーも影響して、「気持ちが忙しい」ということかもしれない。

今日も地元メディアの取材をこなしたが、少しリフレッシュもしたい。

ふと思い立って、もう日は落ちつつあったが、実家の車を借りてある場所へ向かった。

 

弓張岳ー。

 

ここはそれほど高い山ではないが、展望デッキから佐世保の街を一望できる。

私の大好きな場所だ。

 

車を降り、展望デッキまで歩くと風がより強く吹いているのを感じた。

 

ああ、心地よい。潮の香りで心が洗われるようだ。

 

ここのところ、これからの新しい仕事のことであれこれ考え過ぎて頭がいっぱいになっていたようだ。

スーッと頭が軽くなるのを感じた。

 

この街は「程よく田舎」だ。

おかげで宝塚に入ってもホームシックになることはなかった。

 

沈む夕陽と影が長くなる街を眺めていると、17年間の日々のことが思い出される。

高校卒業とともにスタートした17年の長きに渡る我が宝塚人生はついに終わりを迎え、先月最後の幕を下ろした。

まさに疾風怒濤の如く駆け抜けた宝塚時代。

私の青春はいつも宝塚とともにあった。

「男役」に憧れ、「男役」に生き、「男役」をまっとうすることができた。

「女役」も経験し全力で演じたが、やはり私には「男役」がしっくりくる。

 

トップスターにして頂き、最高のパートナーと最高の雪組の仲間たちでラストを迎えた。

無事に次期トップのだいもんにバトンを渡すこともできた。

 

そしてファンあってこその自分。

あつく応援してくれた多くのファンに見送られ、まさに万感の思いだ。

宝塚時代はいつも突っ走っていた。性格的にも手が抜けない。常に全力疾走だ。

思えば、本当によくついてきてくれたものだ。

突然赤面したり、泣いたり、くるくる表情が変わるあの子は。

 

一緒に他の組を観劇したときもそうだ。

クライマックスなのに、隣が先に泣いてしまうから、そちらに気をとられてしまったな。

 

そうかと思えば私が舞台で迷いが出そうなときは、「私がしっかり支えますから」という感じで内助の功ぶりを発揮してくれた。

ある意味翻弄されたのは私の方だよな。

 

フッとひとつ息を吐いてから、帽子をかぶり直し展望デッキの柵まで歩いた。

柵に手を掛けると、先ほどより一面が佐世保のスクリーンになった。

遠くを見れば、波が風に揺れる。寄せては返す優しい波。海に浮かぶ島々。

赤い夕焼けに照らされて本当に美しい景色だ。

 

一人で見るのはもったいないくらいに。

 

昼間は陽射しで暑かったが、今は日も落ち、風が心地よい。

 

遠くの行き交う船などをボッーと眺めているうちに、刻が過ぎていった。

 

何も考えないで頭を空っぽにするのも大事だな、と思う。

 

自分は熱中し過ぎてしまうところがあるから。

よくわかっているところだ。

 

少し前まではそんな私をいつの間にやらコントロールしてくれた人がいたが、今はそうではない。

自分で気を付けなければいけない。

当然なのだけれどー。

 

長崎の島々のように、ポツリポツリと考えることが浮かんでは消え、浮かんでは消え。

ふと気がつけば、日はすっかり沈んでしまった。

あ、もう夜か。

 

その割には、空は真っ暗ではない。

夜空に目を向けるとスポットライトのような月が海の上に浮かんでいた。

今日は満月か…。

なんて綺麗なんだろう。

 

そういえばずっと忙しくてゆっくり夜空なんか見ることはなかったな。覚えているのは…

後編へ続く

後編はこちらからどうぞ。

望郷の詩〈後編〉

お楽しみいただけると幸いです。

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