「Baddy(バッディ)」③~人物別感想と天国行きと爆破について〜




月組千秋楽!

こんにちは、GW中に快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャーのショーを観劇した、はぴごろもです。

子供たちに人気なのはなんと泥棒のルパンレンジャーの方。悪党ヒーローは人の心を魅力するのですね。

普段の現実社会の中ではできない”悪いこと”を作品を通して体感できるからでしょうか。心の中で自由にハメを外して楽しめる気がします。

さてさて、なんとか思い出してBaddyの感想の続きを書こうと思います。

5月6日に月組『カンパニー』と『BADDY』は千秋楽を迎えました。

ライブビューイングで観劇できた方も多かったのではと思います。

出向銀行員を演じる輝月ゆうまさんが役のアドリブで退団者の名前を言ったとか。

遠い星の人でも心はそばにあると思うとウルっときます。

退団者は下記の通り。

綾月 せり
宇月 颯
貴澄 隼人
早乙女 わかば
優 ひかる
早桃 さつき(敬称略)

これまで素晴らしい舞台をありがとうございました。

これからの人生、グッディなことだけでなくバッディなこともあるかと思いますが、それぞれの生徒さんが幸せな人生を送れますように。

さて、まだDVDを1回だけしか観られていなくて浅いとは思いますが、ちょっとまた感想を書いていきたいと思います。

(間が空いてしまうと書けなくなってしまうので失礼します)

バッディ(珠城りょう)

とにかくカッコよかった。

悪者が似合いそうだから悪者をさせるのではなく、いかにも正反対の太陽のような珠様がバッディを演じるところ。

いいです!

そのギャップが観る人の胸をギュッと掴んで離さないのだと思います。

”地球”から相対的に見れば極悪非道のバッディですが、冷静に見れば根っからの悪ではありません。

気を引くために頑張って悪いことを考えているところは、可愛くもあります。

片手のリフトは安定感があり、バッディさも表現できていたと思います。

トップにして斬新な悪役を見事に魅せました。

グッディ(愛希れいか)

ちゃぴさんが両手を広げて笑顔で登場した瞬間、パーンと光が弾けるようにトップ娘役としてのオーラを感じました。

ああ、このお方が長らく月組を牽引していたのだな、と感慨深かったです。

一挙手一投足が本当に洗練されていて無駄がなく、惹きつけられます。

冒頭のバッディの宇宙船が地球に降りた時の地響きの場面。

ちゃぴさんの振動の表現に目を見張りました。うますぎる!

正義感に溢れる万能女捜査官。怒りの表現も魂に響きましたし、バッディと最後の大階段での命を賭した対峙に心震えました。

スイートハート(美弥るりか)

男か女か謎の人物ですが、そんな基本的で重要なことをも凌駕するほどの圧倒的なキャラです。

男の魅力も女の魅力も併せ持ったキメラ的魅力があります。甘く危険な香りも漂わせています。

見るほどに妖しく美しくミステリアス。

歌でもダンスでも魅了し、悪の華の蜜を一度でも吸えば永遠に虜になってしまいそうなスイートハートです。

トップ1,2が恋人同士という設定もありそうでなかった。

コロンブスの卵ですね。

そんなスイートハートも感情豊かで、まさに”スイートハート”たる所以だと感じました。

ポッキー巡査(月城かなと)

見るからに軟弱なイメージ。巡査というのは一番下のポジション。

名前の由来はわかりませんが、心も体もたやすく折れてしまいそうな名前のポッキー巡査。

そんなポッキーをれいこさんこと月城かなとさんが演じたのですが、いい味出していました。

グッディに想いを寄せるも振り向いてもらえず。

勇気を振り絞ってグッディを助けたものの、なんと自分が人質としてバッディに連れていかれてしまう始末。

が、恋の悩みで意気投合したポッキーはアジトで悪のレッスンを受けます。

朱に交われば赤くなってしまうのか。

ポッキーは何をやっても不器用で悪事のセンスもないと思いきや、パスポート偽造というかなり高度な技を軽々とやってのけます。

ポッキーも自分の才能にびっくり。

そして働かされるだけでなく、自分で売りさばいているではないですか!(一冊100万円)かなりのバッディですね!

完全に悪の手に染まってしまったと思わせておいて、なんと最後は自分もろともアジトを爆破します。

なんという大胆不敵さ。作中で一番の振れ幅を演じたか。

皆天国行き

宇宙一の大悪党を標榜していたバッディ一味が死後に付いた先は天国。

みんな天国です。

余談になりますが、ここで思い出したのが「悪人正機説」。

「善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや」(『歎異抄』)で知られる親鸞の言葉です。

善人ですら天国に行ける、ましてや悪人はなおのこと、という意味です。

阿弥陀様のレベルで考えると皆、「悪人」。阿弥陀様は自分の力ではなんとも救われない人=悪人からまず助けます。

(だいぶ説明を端折っていますのでご興味あれば調べてみてくださいませ)

とにかく、作品は名前からして善悪はっきりしている世界だけれども、実はそれほど悪は悪でもないものもあるし、悪人はそれほど悪人でない場合もある。

逆に善行と思いきやそうでもない場合もある。

善悪を区切るのはなかなか難しいものです。

グレー部分を逆手にとって悪事を働かれても困りますので、法の支配と楽しめることをうまくバランスを取っていく世の中がいいのかなあと思います。

守るために破る

ちょっと戻りますが、なぜポッキーは自分の命を捨ててまでアジトを爆破したのか。

どんな意味があるのでしょう。

作品中ではグッディの捜査の突破口を開くため。

それは地球を守るため。

守るために爆破しました。

宝塚の伝統も守りつつ発展していくには時には積み上げてきたものを破っていく覚悟も必要ではないか。

守るために守っているだけでは小さく凝り固まって衰退してしまうかもしれない。

ポッキーは自らがどうなろうとも大胆な手を打つことで地球を守ることを選択し、成功させた。

そんな上田久美子先生の作品にかける気概を月城かなとポッキーに託したのでは、と考えてみました。

見るだけでも楽しいショーですが、いろいろなことを内包していると思うといろいろ考えてみるのも楽しい作品です。

早くもう一度見たいものです(中毒とも言う)

バッディ最高!

お読みいただきありがとうございました。

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