宝塚舞台作品における死について(だいたい雑談)




何年も前のことなどをちょっと前に書いてなんとなく少し寝かせてから出しました。(あまり明るい内容ではないから。しかし寝かせたところで光度は変化しない。)

 

舞台作品は往々にして死の場面がある。人の死は世の理として必定ながら舞台では感情が揺さぶられる一つの大きな山場となり、こと悲劇にはつきものといっても過言ではない。

雪組の望海風斗さんはよく死ぬ役を演じているとして、しばしばSNSでネタ化されてしまうこともあるほどだ。思わずクスっとなるものもあれば、他組も含め統計的にまとめられて感心させられるものもある。

ネタはネタとして置いておいて、「死か死ではないか」のみで舞台への期待を判断するのは早計であり、生死のみに捉われず作品全体を通して役がいかに生きたかを感じたいものである。

しかし死の悲しみが大きな作品を観ることはそれなりに気力体力が要るものだ。それは私の場合、別段心身の不調がないときに限る。同じような人もいるかと思う。

幸い現在さしたる不調はないが、生きていれば当然いろいろなことがある。身近な人との現実の死に向き合う時も来る。

その形が辛いものであれば、癒えるまで現実の死から離れた時間が欲しくなる。趣味の一つである宝塚のDVD鑑賞においては「死」を含む作品は避けたくなってしまう。

まず、ある程度の気力が湧くまではそもそも宝塚は何も観られなくなる。回復してきてもなるべく悲劇とは遠いところにある明るい作品が良い。活力を得たい、死から避けていたいという気持ちにかられるからだ。ついでにツイッターも感動する度に気軽に「死」が使われるので普段なら微笑ましいし共感することが多いが、落ちている時はものの例えと分かっていてもその字を見ることすら避けたい。

私は今、望海風斗さん真彩希帆さん率いる雪組が好きなので、ある時、是非親戚の女の子にもDVDを観てもらおうと思ったが、どの作品ならば良いのかわからなかった。私の感覚であるがその子には現在死を避けた明るい作品が良いと思ったからだ。ショーだけ、というわけにもいかない気がする。

だから雪組公演「20世紀号に乗って」の円盤化は本当に願っていた。自分が観たいだけでなく、オススメしたかったからだ。円盤化に向けて相当尽力した様子の劇団にはお疲れ様ですという思いしかないが、ただただ残念であった。(その子には早霧せいな著「「 夢のつかみ方、挑戦し続ける力」をプレゼントしようと思っている。)

また私の場合、たしか産後1年間ほど心が低調だった。出産時の体のダメージと出血による鉄分不足の影響も大きかったが、プラス他のことも重なってそんな時期があった。

秋口のちょうど今頃の季節、陽が傾くころから夜明け近くまでもの寂しくてならなかった。昼間であっても曇り空の日は陰鬱であったし、月が満ちて満月になっていくのも心が重かった時期があった。隣家の灯りが消えるのが寂しかった。こうして振り返ってみるとちょっとヤバかったな。周りのサポートに感謝。

で、その時は『ME AND MY GIRL』(95年月組)と『ゴールデン・ステップス』のDVDをよく観ていた。宙組のDVDも観た。キラキラした映像に癒された記憶がある。ちなみに大空ゆうひさん野々すみ花さんが退団されてからは数年離れていた。雪組ちぎみゆで出戻って来られて良かった。

上田久美子氏が京都大学で講義した時、多くの参加者の方がSNSなどでレポを書いてくれた時はいろいろ読ませて頂いた。物語の果たす役割の一つとして「痛みの肯定」があった。物語の痛みを知っておくことで後々自分の身に現実に降りかかった不幸を客観視できるというのがあったと思う。それは痛みの軽減につながるだろうか。

私が物語に触れてきた量は多くはないと思うので、現実それなりにしっかり痛んだが、実際多くの物語に触れてきた人はそのような効果はあったのだろうか。また、幼少期から宝塚の作品に触れてきた人はどうなのだろうか。それを読んだ時からずっと気になっている。

あるいは現実の心の暗闇をカウンセリングする人や死と向き合う職業の方はどうなのかなあ。

今は悲劇も喜劇も喜んで。それは幸いだ。

タカラジェンヌも400人ほどいれば、誰かしらプライベートで大変なことも起こっていると思う。そのような中でも最適な喜怒哀楽を演じ続け、ショーでは必ず笑顔を届けるジェンヌさんたち。そこはいつも極上の煌めきに包まれる。崇高でプロフェッショナルな心掛け、本当に頭が下がる。

 

人によって、なんなら1人の中でもその時々の事情により欲する作品が変わってくる。作品を選びたい場合は組にこだわらない方が得たいものを得られると思う。個人的には調子が良い時ならばどちらかと言えば悲劇が好きだ。しかし叶うならば好みの組の明るい作品の円盤も欲しい。そう思ってしまうものだ。ショーもあるので贅沢な希望なのかもしれないが。

なかなか観劇が叶わないとしても、願わくばすべての作品が著作権の壁を越えて円盤化もしくはオンデマンドなどで観ることが叶うことを…

(あ、でも「はばたけ黄金の翼よ」と「ワンス アポン ア タイム イン アメリカ」はうまくいけばなんと劇場で観られそう。やったー!)

秋の夜長の呟き。お読みいただきありがとうございました。

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