“井上芳雄 by MYSELF Presents オリジナル 配信ミュージカル 「箱の中のオルゲル」”を視聴しました。
予備知識がまったくなく、思い込みで「エリザベート」や「ポーの一族」のような壮大な舞台かなあと思いきや(「ポーの一族」と同じ視聴券が4500円だったから)、なんと出演者が井上芳雄さんと咲妃みゆさんのお二人の役者の可愛らしいお話でした。
TBSラジオ”井上芳雄 by MYSELF”(毎週日曜日22時から放送)という番組から生まれたのだそう。
井上芳雄さんと咲妃みゆさんの紡ぐ愛にキュンとします。
作曲された大貫祐一郎さんの生のピアノの音が心地良かったです。
TBSのスタジオを舞台に”配信ミュージカル”という形で観客に届けるスタイルは新しく、このご時世だから生み出されたのだろうと思います。
ああ、ゆうみちゃん可愛い。天才な天使だあ。
井上芳雄&咲妃みゆ出演 オリジナル配信ミュージカル『箱の中のオルゲル』コロナ禍に挑む新たな舞台表現 #井上芳雄 #咲妃みゆ #箱の中のオルゲル #byMYSELF https://t.co/DHp44q5WGx pic.twitter.com/PAWjVQrppz
— SPICE[舞台情報メディア]/e+ (@spice_stage) January 20, 2021
コロナ禍でいろいろと失われたものは多かったでしょうが、こうして新たにお目にかかれる機会もできてありがたいです。
この作品はアーカイブでも視聴できるので合計4回視聴しました。そう思うとお買い得。なかなかゆっくり観られないので(初回は皿を洗いながらだった)アーカイブがあるのは嬉しいですね。
初回はお茶の間でワイワイ観ている気分で(一人だけど)大変楽しく観させてもらいました。
ゆうみちゃん可愛いなあ、アリーセの役そのものなんじゃないかとか、ゆうみちゃんの歌や演技がすごい!とか井上芳雄さんのアドリブがオフロスキー※だとか(ツイッターで目にしてしまったらソレにしか見えなくなった)、デュエットの曲が素敵だなあとか。
(※オフロスキーはNHK「 みいつけた!」に出てくるキャラクター。風呂場で一人ベラベラしゃべりまくる面白いおじさま)
1時間弱の作品は楽しく、あっと言う間に終わった感じでした。
2回目以降は落ち着いて観たのでストーリーがよりわかったし、ゆうみちゃんの涙をためた歌にホロリときまして。ファーベルとの愛の喜び、失った悲しみ、次世代への希望、、、ファーベル(オルゲル)のアリーセを見つめる瞳もなんて優しい。ああ、こんなに素敵なお話だったのだと…。
主人公はオルゴールの人形。名前はオルベル。ドイツ語ですかね?オルゴールそのものな名前なのですねえ。
ファーベルが恋人アリーセのために作ったオルゴール。オルゲルはファーベルにそっくりで王子さまのようらしい。
以前、たしかテレビで観たことだが、井上芳雄さんは実際にバイト3日目で「王子」とあだ名をつけられたほどの根っからの王子さまなのでとってもぴったりなお役ではないかと思います。
ちなみにファーベル(faber)の意味を調べたら「作る人」の意のラテン語、とありました。
ものづくりが得意な人で、アリーセのためにオルゴールを作れちゃう人。
そんなところもアリーセは愛していたのだろう。
当時まだファーベルの早世は予期せぬものだったろうに、自分にそっくりの人形を作るなんて、どれだけアリーセとアリーセを愛する自分のことが好きか。可愛いではないか。いやもしかしたら自分があまり長く生きられないことを知っていたのかな?
ファーベルの遺したオルゲルのおかげでアリーセが無事に暮らせていてよかった。
可愛らしいアリーセが母になり、元気にやっていそうな様子が伺えて嬉しかった。ゆうみちゃんの快活な声が素敵だ。
さらに歳を重ね、咲妃みゆさんがおばあちゃん役?とも思ったけど、ショールを羽織って腰掛けた途端におばあちゃんになったのはさすがだった。
オルゲルは二人の愛をずっと、そうっと見守っていたのね。
アリーセが天寿を全うしてファーベルのもとに行くまで。
それからオルゲルは長い長い年月、いろんな人に可愛がられて歌を届け続けたそうだ。
そんなオルゲルを「壁」となって見守る私達。
頑なな壁(オルゲル曰く)でごめんなさい。
でもそんな壁にもだいぶアドリブで笑わせようとするオルゲルが可愛かった。
カメラ目線にできるのも配信ならではだろう。
冒頭はオルゲルの箱の時間が長かったため、だんだんと閉塞感を感じていたのだが、
アリーセが登場した途端に、時間が動きだしメルヘンチックな世界が広がった。
デュエット曲の中で「色づき輝く あなたとなら」
という歌詞の通りだなあと思いながら、二人が見たであろう景色を思い浮かべた。
時は流れ流れて、またアリーセそっくりの可愛い女の子(咲妃みゆ再び登場)の手にオルゲルが渡ったのは運命だったのかも。
もしかしたらアリーセとファーベルの血を引く女の子なのかもしれない、と思ったり。そうであって欲しい。
光の当たらない暗闇でも、歌を届けたいという思いを抱き続けてよかったねえ、オルゲル。
ちなみに咲妃みゆさんセカンドアルバムの中の「Only You ~ 生まれ変わってもあなたがいい~」の歌詞にも「闇の中でも」「時を超え」などあって、ちょっとオルゲルに重ねて聴いてみると味わい深いです。
アフタートークでも話題に上がったが「箱の中のオルゲル」は今のコロナ禍に重なる部分が大いにある。
閉塞感や他さまざまな要因で不調になる人がいるのは胸が痛いことだ。
そんな中でもこの作品を観たら暗闇に少し光が灯せるのかも、と思う。
もう一度作品を視聴をしようとスマホの画面を操作するごとに、アリーセがオルゴールの蓋を開けるときのワクワク感ってこんな感じなのだったかも!と思いを馳せつつ、また視聴開始のボタンを押したのでした。
そこからは開けるたびにキラキラとしたした宝石箱のような小さな世界が飛び出してきます。
本来無機質であるはずの人形オルゲルを通して、多くの人と人との繋がりや温かみ、暮らしや成長が見えてきます。それぞれの時代の持ち主に渡った時にそれぞれのドラマが生まれたのだろうな。
ファーベルとアリーセの紡いだ愛は時代を超えてもいつまでも消えないのだろう。
ああ、アーカイブ期間が終わってしまうのが惜しい。
箱の中をちょっと観てみたかったな。本当にオルゲルを作ったそうなので。
音楽や照明や演出もとっても素敵だった。
ちいさな箱にちいさな幸せがたくさんたくさん詰まった心温まる作品でした。
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